ツバキの下にヒソむもの

寒さで朝起きるのに「えいっ」と気合を注入しなければならない2月の終わり。
ヒソかに小さなキノコが顔を出します。
ところどころでポタリと花ごと落ちているツバキの樹。
そのちょっと湿った足元をゴソゴソと探してみる。
落ち葉をそっと掻き分け、茶色の土の上を目を皿の様にしてさがす。
すると皿の目の中に茶碗が飛び込んでくる(笑)。

ツバキキンカクチャワンタケ

通称「ツバキン」という「オザケン」とか「キムタク」の様な可愛い愛称で呼ばれておりますな。

漢字で書くと「椿菌核茶碗茸」。
怪しげな名前やわ(笑)

怪しげな正体は「菌核(キンカク)」。

そもそも菌核とはなんなのか?

ちょっと検索してみると、、

菌類の菌糸が分化して,外界のきびしい条件に耐えられる硬い組織となったもの。
https://kotobank.jp/word/%E8%8F%8C%E6%A0%B8-54001

宿主の組織内,土壌中などにある種の菌類の菌糸が密に集まって作る硬いかたまり。耐久性があり,ときに子実体を出す。
http://www.weblio.jp/content/%E8%8F%8C%E6%A0%B8

ふむふむ、なるほど。

つまりは菌糸だけではひ弱なので、それをぐるぐる巻きにして(この表現が適切かどうかはわかりませんが)、大きくまとまった組織に変えていろんな外部の敵から身を守るために作られたものなのだな。

分かりやすく言えば「毛利家の『三本の矢の教え』」みたいなもの(笑)

つまり菌類は自分自身の身を守るために菌核というものを作って武装してるわけなのだ。

しかしこのツバキキンカクチャワンタケという名前、他の菌核を作るキノコには「キンカク」という名前がつけられたものはない。「きのこ検索」で「キンカク」と入れて検索してみても「ツバキキンカクチャワンタケ」以外出てこない。まぁ名前などはその時の状況によって自由に付けられたものであるから、どう付けられていようが良いのであるが、例えば「ツバキチャワンタケ」でも全然いいはずだ。その代わり愛称は「ツバチャ」になり、ちょっと間が抜けたものになるが(笑)。

菌核は目に見えるのか?

さてさてそんな菌核なのだが、菌糸が集まったもの、であるとしたら目に見えてもいいはずだよね?
落ち葉などをどけると、白い糸みたいなものがあるでしょ、それって菌糸だものね、、。
その菌糸が集まったものは、想像すると白い毛糸玉みたいな・・・

じゃあ後で土に戻すとして、ツバキキンカクチャワンタケを抜いてみてみよう。

これが一番上の写真で写っているツバキンです(くどいですが、後で土に植えましたので w)

土から出ていた部分に比べてその根はかなり長いことがわかります。
これは「偽根」なのでしょうか?ちがうか?
ツエタケなどには「偽根」があるのですが、ツバキンのこれはどうなのでしょう?

さて、これを見る限り「菌核」なるものを判別することはできません。

だって白い毛玉ないしね(そこか w)

やはり顕微鏡などでしか見えないのでしょうか?

ではもう一本ツバキンを見つけたので、抜いてみました。

これもかなり足が長い!!
で、足の先に靴らしいものを履いておりますね(靴じゃないですが w)。

これが「菌核」でしょうか???

でも白くない(笑)

あるサイトを見ると

「菌核の形は木の実状になります」

と書いてありました。
じゃあこの靴の形のんが菌核?
これが菌核という可能性もありますし、落ちたツバキの花の成れの果てか、もしくはツバキの実の様な気もします。
ってことは、この先についたものを分解して、顕微鏡などで見れば菌核なるものは見れるのかも、、しれません。

ツバキンの生態

ツバキキンカクチャワンタケはこうして菌核の中から子実体が登場します。

それはもちろん自分の子孫を残すために、出来るだけ多くの胞子を飛ばす、という唯一無二の目的のため。

「飛ばす」と書きましたが、ツバキン達はその傘から胞子を振りまき、隣で落ちているツバキの花の根元に感染(という表現はなんだか病気的で好きではありませんが)するそうです。

ってことは、さほど胞子を飛ばさなくてもいい・・・

ですよね。だってすぐ横にあるんだもの。

あ、ちなみに一番上の写真は置きましたけどね、、ツバキの花。
だから苦もなく感染できるよね、、幸運なツバキン君だ(笑)

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