(特別寄稿)ニガクリタケの苦味は抜けるのか?

わたくしめの菌友には変わった人が多い。
そんな変わった菌友たちの中にポトりとまた変わった菌友が滋賀方面から舞い落ちてきた。
実践派(実戦派でもあるな w)というか、何というか、僕から見たらむしろ「武闘派」という言葉がふさわしい女性。
その名を「リンネ」という。
もちろんニックネームであるが、そのニックネームの由来は分類学の大家「カール・フォン・リンネ」から来ている。
そんな武闘派のリンネさんが、このお題に挑戦したのだ。
「ニガクリタケの苦味は抜けるのか?」
それは僕と別の菌友OさんとのFacebookでのやり取りのなかで
「ニガクリタケは湯がいたら苦味は抜けるんですよね~」
とOさんが言った一言をリンネさんは見逃さなかったのであった。
すかさず実践に移すリンネさん、、、僕の「ヤメロ!」の言葉に耳も貸さずに、、、

ちなみにこの記事はここからの転載であります。
ニガクリタケの苦味は抜けるのか?
ニガクリタケの苦味は抜けるのか?(続き)
ニガクリタケの苦味は抜けるのか?(続きの続き)

ニガクリタケ

さて、と

今回は「ニガクリタケは火を通すと苦くなくなるので誤食がおこる」、
とまことしやかに語られるが、
語っているかたもほとんどが、食べたってことは苦くないってことよね
という推測のもとで自信をもって語っているのに過ぎないかたしかお見受けしなかった

もうね、キノコに推測はあかん

推測と、「誰々という偉い人が言った」とかいうしょうもないことに振り回されたらあかん
きちんとした事実を積み重ねないと
私の思いはこのブログの3つ前の『Jelly Bean Prayer』に書いた
1年以上時間が経ったが、今読んでも全く考えが変わらない

で、なんやったっけ。ああニガクリタケね(^_^;)。

オオワライタケが茹でこぼしを繰り返して
苦味が抜ければ毒成分が抜けて食べられるということは以前やった人に聞いた。

ニガクリタケは猛烈に苦いのでなぜ誤食が起こるのか確かに不思議だ。

火を通せば味が変わるのかも、と思うのは当然の流れのように思う。
ということは、味が変わったあとさらに食べたので死亡事故が起きたということだ。
苦味成分じゃない成分が人を死に導くということだ。

ニガクリタケをどないかして加工して食べる・・・北陸のどこかでやっていたらしい。
北陸すごいよなあ、有毒のふぐの卵巣を漬物にして無毒化して食べる習慣が今でもある(能登)
そのあたりに昔から住んでる友人に聞いたがニガクリは食べてなかった(^_^;)
あっちはキノコ層がかなり豊かなので案内してもらうと私は So Happy♡ なのだが、
どんなキノコを食べるの?と聞くと、「基本塩ゴケっちゃあ、味はわかんね・・・」と返ってくる。

冬にナメコやヒラタケを食べてるのかと思ったら、「そんな季節にみんな山行かんちゃ」と返ってくる。
そうか、雪がすごくて食べ物が手に入りにくくなるから保存食が発達したんだもんね。
除雪車なんかがなかった時代、冬は雪籠もりだ。
奥伊吹山のこんにゃく芋育ててたおばあちゃんも雪が降ったら家から出られん、
することがなくなるから落花生干しておいて、「ひなが一日こたつで剥くのよ」と笑ってた。

『塩ゴケ』・・・コケとはキノコのこと。
キノコのことをコケ、とかナバ、と呼ぶ地域がある。
秋に、滑りの強いフウセンタケ科や食べられるイグチを集めて樽や瓶で塩漬けにする。
友人宅ではその人のお父さんが、
秋になると未だに子供の頃からの習慣のコケ(キノコ)集めをして塩漬けを作る。
そこにニガクリがあるのかどうか・・・ないな、友人はキノコの同定に達者だからあったら発狂してる(^_^;)
今回の件もさんざん相談したがめっちゃ心配してた(^_^;)

さて、と。
で、自分がやったのは単にニガクリタケを茹でこぼせば苦味が抜けるのか?
をやってみた。

そのままですね(^_^;)。

水から茹でました。
グツグツ言い始めてすぐ味見をすると、猛烈に苦い!!
生の時の倍くらい苦い!
生の時は口に入れてもすぐ苦みが出るわけでなく、噛んでから、ん?と思ったとたん苦くなる。
1秒くらいブランクがある。
これは、舌の上に乗った途端に猛烈に苦い!
そして、茹で汁もすでに苦くなり始めてる。
これでわかることは、

苦味成分は水溶性である

ということ。ただし、毒成分が水溶性であるかどうかはわからない。
10分くらい煮込んでまた齧ってみるとさっきより少し苦みが減ったような…
しかし、生よりはるかに苦いレベル。
茹で汁が10分前よりずっと苦くなった。
こんなので茹でても苦みが減らないんじゃないかな…と思い
15分ほどで一度苦い茹で汁を捨て、新しい水で再び茹で始めた

20分頃に齧ってみると、猛烈な苦さの中に、わずかに爽やかさも感じる。
水を替えて5分で茹で汁が苦くなる。
茹で始めて30分、実感としては生のニガクリと同じレベルくらいまで苦さが落ち着いた。

ここで、ニガクリタケの部位によって苦さのレベルに差があることに気づく。
傘の先の方はあまり苦くない。柄と傘の接点あたり、この辺が激苦!
苦みが抜けてくると、齧ってすぐは苦味を感じず、噛み締めてようやく苦さを感じるようになる。
ようは、生の時のようになった。

そして・・・

45分で苦みが抜けた

苦くない。そして、軽い旨みが残った。ただし、

苦味が抜けたけど毒成分が抜けたかどうかは不明である

結果的には苦味は抜けた。しかし45分かかった。
過去、ご不幸にも誤食事故に合われた方は炒め煮や佃煮にされたという。

45分茹でて、毒成分が消えたかどうか・・・皆さんは実験すべからず!!!



そして次の日、もう一度あの茹でニガクリタケを齧ってびっくり!

苦いやん((((;゚Д゚))))!

この状態で茹でたニガクリタケをひと晩放置した

苦味が取れたと思ったニガクリタケ
次の日齧ってみると猛烈に苦い!
ぐぬぬ、どこかに隠れてやがったか消えたふりをしていただけだったのか。

しゃーない、もう一回茹でてみるか・・・

水から放りこむ。
グツグツ言い始めてすぐかじってみる。
あれ、苦味がすでに薄まってる
そのまま5分ほどで苦味が消えた。
茹で汁も苦いが、生から茹でた時に比べたら苦味がすごく苦い。
スタートが猛烈に苦かったのに、ゆで汁はあまり苦くないところが生の時と違う。

苦味が消えたのはなぜか。

1 水溶性なので全部流れ出た
2 苦味成分が再加熱によって消えた

これについては、ひと晩たって苦味が戻ったことが気になってる。
これが可逆の化学反応によって苦味が消えたのなら、
ひと晩置くことでまた苦味が復活する可能性も十分ある。
そして加熱後すぐに苦味が消えたのも納得する。ただし、

もう一度いう、
再加熱して苦味はなくなったが
毒成分が分解されたかどうかは不明だ。

とりあえずの結果報告なので、これからさらに真実を暴こうとすると
さらに危険を犯して実験をしないといけない。

今回は、苦味成分は45分ほどでだいたい茹で汁に出る。
ただし、そのまま置いておくと苦味がもどる(甘柿の渋戻りのようだった)
再加熱すると苦さがすぐに抜ける。

そして例の死亡事故。

個人的には炒め煮も佃煮も常識的な調理法なら、
かなり苦いのを我慢して食べたものと思われる。

そして毒にあたった。

結局真実は闇の中だけど・・・。

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