きのこは、リグニンを栄養源にしているのか?

 

某きのこ展に行ったとき、スタッフとおぼしき人たちの会話が耳に入ってきた。

「きのこが、リグニンを分解するのは知っているけど、それを栄養源にしてるかって聞かれたんだけど、どうなのかしら?」

「するんじゃないの~? 分解してるんだし。」

みたいなことを話している。

いやいや、ちょっと待っておくんなさいまし!と言いかけたけど、内気なわたしはそれが出来ず・・

今回は、知ってるようで知られていない きのこの ”リグニン分解能” ついて書いてみたいと思います。

 

リグニンってなんじゃ?

 

植物の細胞や繊維の主成分は、セミロース、へミセルロース、リグニンってどこかで聞いたことがあると思います。

セミロースやヘミセルロースはいわゆる炭水化物(いわゆる糖分)ってやつで、木材腐朽菌のきのこはこれが大好物なご飯ですw(菌根菌は、樹木から糖分をもらってます)

みんなご飯がないと生きていけないでしょう!?  菌類も同じです。

菌類からしてみれば、セミロースやへミセルロースで出来てる植物は、まさに “うまい棒” みたいなわけですな、
でも、植物からしてみれば、そう簡単に ガジガジかじられたら、それこそやってらんない!

そこで登場するのが、リグニン。

リグニンが、”うまい棒” をしっかり強固にして、強力なシールドを作ってガッチリとガードしているといえる。

このリグニンっていうのは、植物由来の複雑な3次元状網目構造をもつ高分子のポリフェノールのことで、繊維であるセルロース同士をくっつけて頑丈にするほか、外からガジガジやられないようにコーティングして防御する役割を持ってるんですな~

リグニンの大きな特徴は、めっちゃめっちゃ分解できない!
いうなれば、難分解性の物質ってやつです。

うまい棒も同じです、だから食べたらちゃんと包装袋は、ゴミ箱に捨てましょう。

つまりは、そんなリグニンで、コーティングされているおかげで、中身が「うまい棒」の植物でも、いろんな外敵から身を守ることができるですね。

 

リグニン分解能をもっているのは、きのこのみ??

 

しかし!

この難攻不落と思われたリグニンを分解できる酵素を、きのこは獲得したんですなぁ~!

リグニンを分解する能力って、けっこう特殊ですべての菌類が持っているわけではありません。たぶん、きのこだけ・・かも? カビなどのほかの菌類で、リグニン分解能を持っているものは知られていません。(実験してないというのもあるんだろうけどね)

リグニンを分解できる少数精鋭のきのこは、白色腐朽菌って呼ばれています。
(そのほかにもリター分解菌や子嚢菌の一部にもリグニン分解能を持っている種が知られています)
シイタケやらブナシメジなんかのスーパーおなじみのきのこは、みんな白色腐朽菌です。(ホンシメジは菌根菌)

ただし、木材腐朽菌のきのこにも白色腐朽菌と褐色腐朽菌っていうのがあって、ハナビラタケなどの褐色腐朽菌にはリグニン分解能はありません。

 

リグニンを栄養源に利用しているか?

 

さて、本題です。

リグニンを分解する酵素を使って、分解されたリグニンは、栄養源になっているのでしょうか?

答えは、栄養源にはしていません。だって、分解しても糖分にならないもん。
(ただ、分解されたリグニンは、菌類の細胞の構成成分として用いられることがある)

あくまでも、リグニンというシールドを分解して突破し、その先のうまい棒をガジガジと美味しくいただいてるっていうことです。

そして、リグニン分解能を持つきのこが、分解できないリグニンを分解することによって、ほかの菌類、バクテリアなどなどいろんな生物がうまい棒にあり付けることが出来ます。

植物もガジガジ簡単にやられないようにリグニンという難分解性の物質を作り出すように進化して、それを狙うきのこは、それさえも分解できる酵素を作り出すように進化していって・・

リグニン分解能を考えると、植物ときのこの共進化の長い戦いを思わずにはいられません。

 

リグニン分解能を検出するバーベンダム反応 左から、没食子酸、αナフトール、グアヤ脂を1%添加したもの(PDA培地)すべてヒラタケ 菌叢の直下および周辺が、没食子酸は褐色、αナフトールは赤、グアヤクはパープルに変色するのがわかる。それぞれリグニン分解に関与する酵素が変わる。

アントラキノン染料のひとつであるレマゾールブリリアントブルーR(RBBR)は、難分解性化学物質の分解能の指標として使われている 。 リグニン分解と同じ分解酵素系が関与しているとされている。 左は対照。 右はPDA培地に0.5%のRBBRを添加したものに、ナラタケを接種した。 青い培地が透明になり、なお薄赤く変色しているのがわかる。

 

 

 

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