謎の青いキノコ(続編)

前回は「専門家の先生に尋ねてみたがわからない」という事で終わった。
ただその先生が

「この人がクヌギタケの専門家だから聞いてみては?」

という事で名前を教えてくれた人がいる。

「八重山諸島のきのこ」というウェブサイトを運営しておられる高橋春樹さんという方。

そこでM子さんは連絡を取るべくWEBサイトの隅から隅まで探してみたものメールアドレスらしきものはなく、、Twitterのリンクをクリックしても真っ白な画面が出るだけで(笑)、「連絡付けようがないんです~」ということだった。

そこできのこびとで記事を書いてみた。
https://kinokobito.com/archives/2040

それをTwitterにアップし、「どなたか高橋春樹さんに連絡とれないでしょうか?」と書き込んだところ「◯◯◯◯◯ってアカウント名でTwitterやられてますよ」というコメントを頂いた。
そこでさっそく高橋さんに向けてこんな投稿をしてみた。

@******* 様
FF外から失礼します。
リンク先の青いクヌギタケを発見された方がおられ、専門家の方に聞いたのですがわからず、その方からクヌギタケなら高橋さんに聞いてみては?と言われましたのでツイートさせてもらいます。
https://kinokobito.com/archives/2040

するとさっそく高橋さんから返事が返ってきた。

返信先: @**********さん
「謎の青いキノコ」の記事、大変興味深く拝見させていただきました。確かに類型と傘の色はMycena interruptaによく似ていますね。ただinterruptaは根元が青色を帯びた吸盤状になる性質があります。もしこの特徴が認められれば、近縁種である可能性は極めて高いと言えます。

またinterruptaの傘は湿時粘性を表し、ヒダに青色の縁取りがあり、そして長さ10µmを超えるやや大形の胞子を持つとされています。

https://www.flickr.com/photos/chilebosque/7810221504

ここで一番良く似ているMycena interruptaの特徴を列挙すると

  1. 根元が青色を帯びた吸盤状になる性質
  2. 傘は湿時粘性を表す
  3. ヒダに青色の縁取りがある
  4. 長さ10µmを超えるやや大形の胞子を持つ

なるほどなるほど、なかなかわかりやすい特徴を持っていますね!

ここで僕の方からM子さんにメッセージで、高橋さんに連絡が取れたこと、それと上記特徴がMycena interruptaにあること、もう一度行って特徴が分かるような写真を撮ってもらえないか?という事を伝えますと「明日撮りに行ってきますね~」となんと翌日に写真を撮ってきてくれました。

しかも何と150枚、、、多すぎないか?(笑)



さてさて

その前に高橋さんの方からもう一つの候補アオミノアシナガタケの特徴を教えてもらいました。

「アオミノアシナガタケ」
http://hokkaidou-kinoko.sakura.ne.jp/kinoko/agaricales/favolaschiaceae/mycena/aominoasinagatake.htm

欧州産Mycena amicta(アオミノアシナガタケ)は、一般に傘の周縁部(成菌)と柄の下部に青みがあり、柄は微毛に被われ、基部はしばしば根状に伸び、縁シスチジアおよび柄シスチジアは円柱形で平滑。

特徴を列挙しますと

  1. 傘の周縁部(成菌)と柄の下部に青みがある
  2. 柄は微毛に被われている
  3. 基部はしばしば根状に伸びている
  4. 縁シスチジアおよび柄シスチジアは円柱形で平滑

とのことでした。


ではでは撮ってもらった写真を貼り付けますよ、、150枚ちゃうけど(笑)

こうやって見ると根元には吸盤状になっているようには見えません。
この画像をまた高橋さんに送ってみました。

傘の周縁部に青みがあるのが伺えます。柄の下部は吸盤状にはなっておりません。ヒダに青色の縁取りも確認できないですね。
柄には微毛はあります。柄の下部(先端)は確かに青くなっています。

で、高橋さんからの返事は・・・

お写真ありがとうございます。残念ながら標本写真のサンプルは根元が途中でちぎれている様です。子実体は根元がしばしば根状に長く伸び、地中に埋没した木片に着くことがあります。吸盤の有無を確認するため根元付近を丁寧に掘り、基質に着いた状態で撮影をお願いできますでしょうか。m(_ _)m

そうか、、柄が途中でちぎれてますか、、、

ちなみにM子さんは本当に丁寧に根元の部分から採ったという風に言われていますので、たぶん木片から採取しなければならなかったのだと思われます。

・・・しかし、これでもう最後の2つでしたので、これ以上の採取は不可能。

ですのでこれで万事休す、ですが、最後に高橋さんからのメッセージで

 

傘全体(特に幼菌)が青みを帯びる点ではMycena interruptaに似ていますが、根元が地中に伸びる性質など、これまで頂いた肉眼的データを総合的に判断すれば広義のアオミノアシナガタケに最も近いと思われます。

 

という風に教えていただきました。

謎の青いキノコ、結局は分かりませんでしたが、かなり近づいた様な気がしますね。

木が残っているようなのでまた来年出るかもしれません。
その時にまた、謎ときの続きをしましょう。

『注意』
高橋さんにはTwitterの文章をそのまま載せることは了承済みです。

【追記 2020.07.25】

横浜M子さんから「謎の青いキノコ」がまた出ていたよ、、、という報告を受けたのでサンプルを採取して送って頂いた。
以前の記事からおよそ3年。しばらくは出ていなかったらしいのだが、今年は雨が多いこともあってまた同じ木から出ていたのだそうな。

2020.06.22 横浜 写真:M子さん

さて、実は担子菌の顕微鏡を顕微鏡で見るのは上手くないのでお恥ずかしいのであるが、検証のため載せてみたいと思います。

謎の青いキノコ胞子

胞子を探すのに苦労しました(笑)
まだ恐らく胞子が成熟していなかった様で、担子器から切り放たれたものは確認できなかったのですが、このメモリの上辺りに楕円形の胞子らしきものがあるのが見えるであろうか?

大きさは約6μmでくちばし状突起も確認できます。
これはアオミノアシナガタケの胞子の大きさ「5.5~6.5μm」にほぼ該当します。

※ただし、海外の Mycena amica のデータを見ると胞子の大きさを調べると「7.5~10.7μm」となっています。

謎の青いキノコ 担子器

担子器がちょうどメモリの上にみえるでしょうか?角が2本飛び出しているやつですね。
大きさは10μmぐらい。中に丸い物体が見えるのですが、これは胞子になっていくのでしょうか??

謎の青いキノコ シスチジア

紡錘形で先端伸長している感じは良くわかります。
さてシスチジアの大きさはどこからどこまででしょうか?(え?いまさら w)
飛び出しているところから測ると約25μmです。
ただし図鑑には37~46μmと記述されておりこれでは小さすぎますねぇ、恐らくですが、この根っこの部分がまだこの細胞たちの下に隠れているのでたぶんあと15μmはあるでしょうな(はい、適当です w)。

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