『持ち歩き図鑑 きのこ毒きのこ』

『持ち歩き図鑑 きのこ毒きのこ』  監修 横山和正 執筆 須田隆 中沢武 村岡眞治郎

最小クラスのポケットきのこ図鑑。縦に細長い形なので、まさしくポケットに入れることができる。

ただ、中身のほうはポケット図鑑の分際で相当に欲張ったようだ。おもだった栽培キノコには栽培風景の写真がついていて、光るキノコ、カエンタケ、虫草類などネタ系キノコはもちろんのこと、タマノリイグチやキリノミタケ、ウスキキヌガサタケなどレアキノコも押さえてある。おまけにコラムも7つ付いてるという充実ぶり。

ちょーっと待て。

超小型ハンディ図鑑でそこまでサービスする必要があるのか。おかげで普通のキノコが圧迫されてなんだか変なことになってるぞ。

ヒラタケ科8種
ヌメリガサ科6種
キシメジ科53種
テングタケ科18種
ウラベニガサ科6種
ハラタケ科12種
ヒトヨタケ科6種
オキナタケ科1種
モエギタケ科12種
フウセンタケ科4種
チャヒラタケ科1種
イッポンシメジ科7種
ヒダハタケ科1種
イグチ科13種
ベニタケ科10種

ヒダナシタケ類83種
腹菌類20種
キクラゲ類9種
子嚢菌類37種

掲載種を分類してみた。このサイズの図鑑で300種超えは偉大だと思うが、なんかバランスがおかしい。掲載種700の幼菌の会きのこ図鑑ですら7種のヒラタケ科を、ここに8種載せた時点で不安を覚えなかったのか、キシメジ、テングタケ、ハラタケ、モエギタケまでそのペースのまま来て、ふと気付いたのかもしれない。

「やべ。おさまりきらん。どうしよ…」

危機に陥った筆者たちは、ここで英断を下す。

「てえええい!フウセンタケは4種!」

しかもそのうち3種が毒というあまりの不遇さ。日本フウセンタケ協会からクレームがつくこと間違いなしだ。

その後のイグチ13種、ベニタケ10種も窮屈だ。タマノリイグチとか載せてる場合じゃないかも。しかもベニタケ科のうちベニタケ属はアイタケのみ、のこり9種がチチタケ属という不自然さ。きっとチチタケ教の本尊・栃木県民に買収されたに違いない。おそるべし栃木。

いや、それはいいんだ。そんなことよりも…

オニイグチ科はどこ?

ということで、つっこみどころ満載の図鑑ではあるのだが、ヒダナシタケ類が83種という異例の大充実ぶり。地味だし食えないキノコが多いということで、コンパクト図鑑では普通、ぞんざいな扱いをされることが多いグループ(特にサルノコシカケ系)だが、この図鑑では獅子奮迅の活躍を見せている。
腹菌や子嚢菌も多い。すげぇ、ツチダンゴとかマユハキタケとかも載ってる。

以上、いまひとつ制作意図がつかめないきらいがある図鑑だけど…ま、おもしろいからいいや。

「月刊きのこ人」(こじましんいちろう)2012年02月8日に掲載分を再掲載

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