アミガサタケは、腐生菌? それとも菌根菌?

マッドサイエンティスト見習いのハヤシです。

お久しぶりです、さみしい思いをさせちゃってごめんなさいね!

っていうか、気が付けばもしかして秋??誰もいない海状態??

うにゃ~ん、仕方がないので、今日はいま読んでる論文についてちょろっと書いてみることにしまっする。

アミガサタケは菌根菌なの?

もうアミガサタケなんて季節外れなんて言わないでぇ~・・!!

もう季節感まったく失ってて、わたしの頭の中ではまだアミガサタケがにょっこりしている状態です、そういえば今年はきのこの不作の年のようで・・w わたしが引き籠っているうちはきのこも出ないのさ!! ふふふふふふふ

んでもってアミガサタケです、巷に溢れてる自称キノコ博士どもたちは、アミガサタケはイチョウの傍によく生えてるよ~、いや、サクラがねらい目でしょ、なんて、さも!知ったかのように言いますが、わたしもいろいろアミガサを求めて彷徨いましたが・・・まったくその通りです、、

かといって、イチョウとかサクラって内生菌根菌が大好きなんで外生菌根を作るって報告ないんだよねぇ~・・・、だから、だれも菌根菌だって言い切れません、ちなみに、内生菌根菌(内生的な共生をしている菌類はいくつもあるけど、ここでは、アーバスキュラー菌根菌 Vesicular-Arbuscular Mycorrhiza を指す、昔はVA菌って言ってたけど、今は、AM菌っていうのが流行りらしい・・先生にAV菌、AV菌ってエラそーに大きな声で言ってたら、ぼそっと、「林さん・・VAです、」って訂正されたのは甘い遠い思い出)あ、ちなみに、Mycorrhizaって、菌根っていう意味ね、これけっこう知ってると自慢できます、たぶん。

それでもって、内生菌根と外生菌根はその栄養要求、共生のシステムがまったく違う!!!

単に、根っこの細胞の外側におるのが外生、細胞内まで入り込めたら内生~なんて思ってない?
今夜うちに来ない?っておうちの中に入れてもらえるか、今度きみのうちに、、なんて言おうものならすかさず外で会おうよ!と言われるのか、この違いってめちゃ大きいのだよ、そのうちおうちの中に入れてもらえるさ~なんて思ってたら、そんなことは絶対にないですから!

つまり、この世はすべて利害関係!! それぞれ求めるものが違うってことなわけで、外生菌根は内生菌と共生する樹木とは相性が合わないっていうか、両方とも菌根がある樹木はないのかって思うけど、二股かけてまで共生するのもけっこうめんどい気もするし、ってか、そこらへんはあんまり研究されてない感じがする・・いわゆる、内生菌根と外生菌根の研究はあんま交わってないような感じがある。

んでもって、実際はどうなんだろーと思ってマッドサイエンティスト的に調べてみたよ、そしたら、けっこう面白いことがわかってきちゃったw

日本は腐生、でも海外はすでに菌根扱い・・遅れてるぞ!日本!

アミガサタケってでもいろんなところに出てくるんだよね~!
常に外生菌根を作る樹木のそばににょっこりしてくれればわかりやすいものを、イチョウとかサクラとかの傍とか、かといって、そういう樹木さえないところにもあったりして、本当に神出鬼没!!!悪女だわぁ~!

日本の図鑑ではどう書いてるかって調べてみたよ、ここら辺は発生環境からじゃ推測できないからあえて触れないっていうものが多い中、ひとつだけ見つけた・・・!

大作晃一ほか,おいしいきのこ毒きのこハンディ図鑑,p205-206,2016,主婦の友社、東京

幸せの青い鳥は身近なところにいたりする、誰もが持っている「おいしいきのこ毒きのこハンディ図鑑」にしっかり載ってたよw

なんとここには、しっかりくっきりと「生活型:腐生菌」とある!

それでもって、海外の図鑑ではどう書いてるのかなぁ~・・って思って探してみたら、やっとひとつ見つけたよ!

“THE BOOK OF FUNGI” (Peter Robert & Shelley Evans,2014,p601,Ivy Press,)

ここには、”association: passibly ectomycorrhizal,with broadleaf tree” とあるではないか!

associationっていうのは、つまりは生物間相互作用のことで、それは”ectomycorrhizal”、これは外生菌根ってこと、つまりは、広葉樹につく外生菌根っぽいって書いてある・・、けど、ほかを読んでみると、

Peter Robert & Shelley Evans,THE BOOK OF FUNGI,2014,p601,Ivy Press

”Growth Form:In soil or leaf litter,often in troops” っていかにも腐生菌ともとれるようなことも書きやがってうまく交わしてる~!これぞ神業!!!ほんと、世渡りがうまいって大事だよねw

この図鑑のアミガサタケのとこの写真、この図鑑、日本語版が出ているらしい、でも、なんでだか、わたしは原本の英語版のしかもコピーしか持ってなくて・・いろいろ書き込みしちゃってるけど、ちゃんとしたやつ持ってなくてごめりんこw

ん~、でも、ectomycorrhizal としちゃったのはちと早まりすぎたな~・・っていうのがわたしの率直な感想・・・いろんな論文を読んでみると、樹木の根っこに確かにアミガサタケの菌糸はまとまりつくけど、外生菌根の形態とはまったく違うのだよ・・、もっといろんな論文を読むべきだったな、ロバート!!

・・なんて書くと、間違いを見つけて喜ぶなんて、なんて林さんは性格が悪いの!と炎上しちゃいそうだけど、(まぁ性格悪いのは認めるけどw)図鑑って間違い結構あるもんなんだよ~w もしかして図鑑に書いてることは絶対に正しい!なんて盲目的に思ってたりしてない? すぐにWikiの引用を持ち出す人もいるけど、けっこう間違いあるんだよ~w でもね、間違いを指摘されて自尊心を傷つけられた~なんて騒ぐとすれば、それはサイエンティストになる資格はないのだよ、だって、科学って間違いを指摘されて育っていくもんだからw 今ある正しいことは、将来は間違いだってあれはちょっとした気の迷いなんてざらにあること、もちろん、それはわたしも同じw
なんでも鵜呑みにしちゃう人が多いけど、たぶんそれってめっちゃいい人なんだと思う、でもさ、これってどうなの?って指摘するのも優しさだとわたしは思うんだ、もちろん、わたしにも指摘してくれていいんだよ~! 10倍にして返すけどね!!

アミガサタケの人工栽培に関する論文たちから、アソシエーションを考えてみる。

海外では人工栽培の研究がたくさんされていて、いろんなところでいくつも成功例が報告されてるんだよ、もう出来ないっていう時代じゃない。でも、それは、菌株に左右される、っていうのが根底にある。菌株の性格・・つまりは、腐生的か菌根的なのか、それが一番重要っていうのが今の考えで、わたしもいろんなアミガサを培養してきたけど、それぞれ性格が違くて扱いやすいやつもいれば、扱いにく

T.N.Lakhanpal,Onkar,S.Shad and Anand Sagar,Mycorrhiza:Apossible deterrent in artificial culvivation of morel,current science,Vol.60,NO.6,1991

いやつもいた、見かけは似てても生理的特性にけっこう性格がある!!

まず、紹介するのが、1991年にインドから報告された、”どうしてアミガサタケ人工栽培が難しいのかってそれは菌根的であるからなんじゃん?”っていう論文。
興味ある人は、この論文をぜひぜひ読んでほしい! わたし的にはハートにズキューンってやられた♡

ちなみに多くの論文では、Mycorrhiza って言葉で止めてるのが多い、ただの”菌根”ね、外生とも内生ともそれは言及していない、でも、この論文では、アミガサタケの子実体の下に広がる菌糸マフ(mycelial muffs )にまとわりつくイチゴの根とシダの根茎を詳しく調べて、腐生的であるための仮定を立て、それを否定させる結果がでたことで、菌根であるのは間違いない、と結論を出している。

ちなみに、日本ではイチョウ~と言われてるのと同じように、海外ではリンゴの樹って言われてるんだよ、この論文でもリンゴの傍にアミガサタケがにょっこりしてるけど、でもリンゴの樹とは共生してないんじゃないのかな~それよかそこに生えてる雑草のほうが可能性あるんじゃん?なんて含みのある言い方をしてる、ムムム・・・実際のところどうなんだろな? でもそういえば、わたしの読んだ論文の中にはリンゴの樹の根っこを調べたのはなかったような・・? もしかして、どっかに転がってるのかな? 知らないだけかな?

J.Delmas,The potential Cultication of Various Edible Fungi,”The Biology and Cultivation of Edible Mushrooms”,p710-721,1978,Academic press

もうひとつ、わたしのハートをズキューンした論文を♡

これも、ご飯食べながら、ベットに寝っころぎながら読んでたので、汚い書き込みとかバンバンしててごめりんこw まず、データを作ってから印刷して書き込めばいいんだよね~・・さすが、めんどくさがりのO型w 性には逆らえないもんだす。

この論文の偉大なところは、普通さ、きのこの生物間相互作用(association)って、腐生(saprophytes)、寄生(parasites)、菌根(mycorrhiza) ってカテゴリ分けするじゃん、これ、キノコやってる人ならきっと知ってるはず!
この論文のカテゴリ(class)の分け方は、腐生(saprophytes:S)、寄生(parasites:P)、厳密な意味での菌根(strictly mycorrhiza:M)として、それ以外に、”Ecologically dependent” を設けてること!!!

さっきの論文にもあったように、人工栽培するためには、そのassociationがめちゃくちゃ大きなカギになるというのは、ここまで読んでくれた忍耐強いキミなら、もうわかってるよねw
んでも、いろんなキノコを見ていると、すべてのキノコが腐生、寄生、菌根のクラスに入るとは限らない・・

同論文から、TABLE1 引用

アミガサタケのようにちょっとわかんないものもある、そのクラスに無理くり押し込もうとせずに、ありのまま、そのままに・・Ecologically dependent・・なんと素晴らしいんだ!!!

またテキトーな訳といわれそうだけど、Ecologically dependent は、環境依存型っていうことかな? アミガサタケは、菌根のようでもあり、腐生のようでもあり、(わたしは寄生もありと思ってるw)
たしかに、環境により、いろいろ変化しているかのように思える・・でも、でも、本当に環境によりassociationを変化させているのだろうか??

実は、このカテゴリの中にはアミガサタケ以外のものもいて、全部調べてないけど、その後の研究で菌根になったり~このクラスを卒業していった種もある。つまりは、いわゆるよくわからない種を入れとくための ”とりあえず箱” なのか?

それとも本当に環境によって変化しているのか?? 本当のところは、どうなんだろう。

 

そいで、つまりは、アミガサタケって菌根なの?

批判ばっかりしてるけど、結局のところどうなのよ? 専門用語たらたらでだらだら説明されたって、ちょっとめんどくさいだけなんだよ!って、もしかして、そこでボソッと言いました??

実のところ、アミガサタケって腐生菌なのか菌根菌なのか、そもそももし何かとassociationしてるんだったら、それは樹木なのか草木なのかなんでもOKなのか、そしてそのassociationはどんな関係なのか、いろんな研究がされているけど、なかなか明確な答えまでいけてないのが現状って感じがしてる。
(たしかに、マツ科の樹木の細根に菌根を作った、という報告があるが、これももちろん読んだけど、うぅ~ん、まだまだ研究が足りないな、という感じが否めない、まだそれだけぢゃ答えを出せないと思う)

この実験をやったら、答えがわかるよ!なんて研究はない、たくさんの研究が導き出す点がひとつの答えを浮かびだしていくみたいなところがあって、だから、これからいろんな分野の人が丁寧に点を打つことでどんどんアミガサタケの生態がわかってくるんだろう。

それでも菌根の形態はけっこう解明されてきてるから、あとはどんな栄養要求が行われてるのか、わたし的には、その解明がむっちゃ興味ある~! 実は、光合成で作られる糖の中の炭素と、土壌のいろんな有機物を分解して得られる糖の中の炭素は微妙に同位体が違う、これを検出し計測することで、光合成で作られた糖をアミガサタケが利用しているのか、樹木(または草木)が、アミガサタケの菌糸がせっせと土壌の中の有機物を分解して作った糖を吸収しているのか、を解明することができる。その結果から、associationも解明できるかもしれない。

科学の醍醐味は、そんな風にひとつひとつ、秘密を暴露していく過程なんだと思う! 菌類はまだ未解明のことがたくさんありすぎて、だから余計に夢中になっちゃうw キミのことはすべて知ってる、なんて言われたら、もう別れよっかな、なんて思っちゃうのとまったく同じだねw

最後に、この論文の印象に残った文章の引用をw

however,there techniques remain fairly odd and hazardous,due to a lack of knowledge on the biological cycle and the ecology of morel( caliieux,1969)

この論文の全文を読んでもらえると、この文章のキラメキを感じることができると思うんだけど、こうやったらアミガサタケが出てきたよ、という噂レベルで栽培をしてても、それはハチャメチャなだけだ、ちゃんとアミガサタケの生態、どんな栄養が必要でどんな生活環を持っているのかをしっかり科学的に解明してそれを根拠に人工栽培の手法を編み出していかないと!っていうメッセージなんですな~w
例えば、アミガサタケを水で溶いて撒いてみても、たしかにそれで出るかもしれないけど(たしかにそれで出た、という報告もあるが)アカディミアの世界では、fairly odd and hazardous になるってことだねw
あ~、この論文の前のほうに最初に成功した例が書いてあるんだけど、それ読んでもらったら本当にそこら辺の言いたいことがキラメク!!

もうここらへんでおしまいにしないとおいちゃんが怒るので・・

最後に、きのこの研究論文って基本的に英語で、古いのはラテン語!で書かれてたりして、小難しい、出来れば関わりたくないな、って思っている人も多いかもしれないけど、けっこう面白いでしょ、いろんな研究者がいろんな思いをもって書いていて、その一字一字が、そんなたくさんの思いをわたしに伝えようとしているのが感じられて、しかも、今はもう生きていないであろう人の論文を読むとまざまざとその科学者魂を感じてくることもあって、なんかジーンとくることもあるw

そしてなにより、自分の疑問に対する答えやヒントが、論文の山の中に必ずあるのだ!
それって、究極の愛だって思わない??

あ~、やっぱ、また長くなってしまった~!

でも、おいちゃん、ありがとう、ね♡

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