毒キノコ事件簿 その5

カラカサタケ。
僕が最初にこの存在を知ったのは、神戸キノコ観察会に初めて参加した時。
車が走る道のすぐ脇の草むらからニョキッとその姿を現していた。

これはね「カラカサタケ」って言うんですよ。

実はその名前を聞いたのもその時が初めてでした。
脚(柄)がスラッと長く、本物の傘のような形をしており、小人達がこの傘の下に寄り添いながら雨をしのいでいる姿をなんとなく想像してしまいますよね(笑)

そんなカラカサタケ、実は食べられるんです。

僕は未だに食べたことはないのですが、菌友などは天ぷらにして(なんでも天ぷらにしてしまうの w)食べるらしいのですが、多分僕は一生食べないかな、、、

そんな食べられるカラカサタケに似ていて、キノコの食中毒においては最近トップクラスに躍り出ているのが「オオシロカラカサタケ」なのですな。

毒キノコ事件簿(名古屋市港区にて)

 

ちょうど昨日こんなニュースがFBのキノコグループを賑わしました。

「自生キノコ食べないで 3人食中毒の公園、80本除去」

市によると、二十日午後三時ごろ、自由に使用できる園内のデイキャンプ場で知人らとバーベキューをしていた市内の三十代男性三人が、近くに生えていたオオシロカラカサタケを複数採って焼き、多い人でカサを三個食べた。いずれも約一時間後から嘔吐(おうと)や下痢などの症状が出て、救急搬送されるなどして入院。現在は快方に向かっているという。
オオシロカラカサタケは夏から秋にかけ芝生や草地に生え、カサの大きさは七~三十センチ、柄の長さは十~二十五センチ。カサの表面は白く、褐色が交じる。全国では二〇一五年までの十年間に十六人が食中毒を起こしている。

http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20170824/CK2017082402000052.html

オオシロカラカサタケの食中毒と言えばこの「毒キノコ事件簿 その1」で詳しく書きましたね。

「毒キノコ事件簿 その1」

毒キノコ事件簿 その1

この時はこのオオシロカラカサタケをササクレヒトヨタケと間違った、と記事にありました。
しかし今回はその様な記述はありませんし、「三十代男性三人」とありますので、たぶんさほどの知識もなく、なんとなく美味しそうだとか、それとも飲んだ勢いなのか、そんな感じで食べてしまったのでしょう。

しかし80本除去したというのは何本あるねん、、、って言う感じですな。

高山栄さんもあたった?

 

高山栄さんのきのこ本「京もキノコ一期一会」をご存知だろうか?
キノコに関するエピソードが盛りだくさんのエッセイで、キノコが好きな人には絶対に読んで欲しい本である。

そのエピソードの中に「ドクカラカサタケ」がある。
その章がこれです。

僕はまだ見たことがないのであるが色や形、あと雰囲気などもカラカサタケそっくりである。

そのドクカラカサタケを食べたエピソードが面白い。

今から四十年ほど前、1970年代の初め頃、まだ幼稚園の年少組だった長男を連れて、きのこ狩りに出かけた。当時はまだキノコを始めて数年目。図鑑は正しいと信じていたので、図鑑を頼りに食べられるキノコをを鑑定し、朝食の時、このキノコを焼いて四本食べた。もちろん息子も食べた。
味は甘みがあって美味しかった。
しかしそれからが大変。当時はサラリーマンだったのでいつもどおりに会社に出勤したのだが、会社につく頃には気分が悪くなり、戻したり下痢をしたりという症状が、、、。これはおかしいと家に電話をすると息子も同じ症状で苦しんでいた。
すぐにその場で図鑑の著者に電話して「『食べられる』と書いてあったキノコを食べて中毒したが、どのような処置をしたら良いのか」と尋ねたが、「早まったことをされましたね」が最初の一言・・・

何というエピソードだ(笑)
図鑑に出ているキノコを食べて中毒し、その図鑑の著者に電話をする高山さんも高山さんだが、その著者の反応「早まったことを」なんていうのはなんとも牧歌的で、昭和な感じがして僕的には嫌いではないよな~

ともあれ「キノコを始めたばかり」というのはもっとも危険な時期なのであろう。
「何かと似ている」「じゃあ食べられるんだ」と思ってしまい、興味半分も手伝って、確信を持って食べてしまって中毒を起こす。
これがもう少しレベルが上がると「似ているけど違う」とわかって決して食べようとは思わなくなる(ハズ)。

南から来たスナイパー

 

オオシロカラカサタケ

オオシロカラカサタケ

この写真がオオシロカラカサタケです。
漢字では「大白唐傘茸」と書くらしい。
南方系のキノコだと聞いてたので、今までずっと「大城」だと思ってました。
なぜなら沖縄県の名字に「大城」って多いでしょ?なので沖縄県=南方系で「大城」だと・・・

で、このキノコ、温暖化の影響なのか知りませんが、その勢力範囲を広げていき今や東北にまで達しているというからその勢いたるや凄まじいものがありますな。

しかも出る場所、というのが問題なのです。

キノコは山の中に出る、というのは単なるイメージの話。
「街キノコ」といって街が好きなキノコのグループがあります。
このオオシロカラカサタケもその中の一つ。
この写真では植物園の芝生の上からたくさん出ていたのですが、一番多いのが郊外の公園とかですかね~
一度神戸で小学校の校門の横に何本かでていたことがあります。小学生が採って食べる、というのはほぼ無いでしょうから、大した事件にもならないのだと思われますね。

しかもかなり大きくなるのでとっても目立つんですね~傘の色も白だし。

公園に良く出る、白くて大きい、見た目(素人からしたら)美味しそうに見える。

じゃあ採って食べてみようか?と言う人がいてもおかしくない。

この様な神出鬼没のキノコのためにあちらこちらに「食べるな危険」の看板を建てるのもバカげた話。

さてどうしたもんか、、この南から来たスナイパー。

やはり人間が対抗できるとしたら「スナイパー豊」に駆除を頼むしかないか!(笑)
 

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