サケツバタケを分解する

5月上旬、某公園をワンコを連れて散歩していると巨大なキノコを発見した。

「わっ、サケツバタケや!」

横に一緒に散歩していた嫁さんにそう叫んだ。
「ふ~ん」と無関心な嫁さんの声。

でもいつもの事だからそんな事は気にしない。

そんな事をいちいち気にしていたらマイノリティである「キノコ愛好家」は生きていけない(笑)

でも、少しだけ暖かく見守ってね、、、

それだけが唯一の僕の願いなのだ。

・・・なんて家庭の事情は置いておこう、、、なんせサケツバタケだ。
本物を見たのは初めてであるが、

1.出ている環境
2.傘の感じ
3.菌友のところで出ていた

という3つの根拠でまずはサケツバタケではないか、と判断したわけだ。
そこで少し念入りに写真を撮ってこれを家に持ち帰って詳しく調べてみたのであった。

全体像


 
かなり太いです。
そして傘の色がサケツバタケと違うんです、、、。

あれれ、、と思ってサケツバタケの特徴を詳しく調べてみました。

「日本のきのこ」(山渓カラー名鑑)

これらがサケツバタケの特徴でありんす。

特徴 正誤
傘の径は7~15cm
まんじゅう型から平らに開く
表面は湿時、わずかに粘性があり、赤褐色。あるいは暗褐色。
柄は長さ9~15cm。
胞子紋は紫褐色
ヒダはやや密で直生している
星型に裂ける厚い硬質のツバを持ち
ツバより下は白色
下部は淡黄色
春~秋
道端、畑地、牛馬の糞上に発生する

うむうむうむ、、、3つも「X」があるではないか、、、

しかし小島さんによると、このきのこの名前の由来になっている「ツバ」は落ちやすい、とのこと。

しかしそれでもこの傘の色はちょっとなぁ、、、
ちなみに普通の傘はこんな色をしている。

写真提供小島さん

 
こうやって見るとかなり違うよね?

・傘は赤褐色
・柄の太さも違う

であるが、また耳寄りな情報をらじかるさんから得た。

こんな色の別種「キサバツタケ」ってのがあるよ!

とのこと。
この「キサバツタケ」、本種との違いは

・傘の色が淡黄褐色
・大きさがサケツバタケより小さい

という特徴がある。

それならこのキノコは「キサケツバタケ」なのか?

と聞かれると「そうかも知れない」という曖昧な答えになる。
何故なら、このキノコは「かなり大きい」からである。

なのでもう少し特徴を見てみましょう。

ヒダ

なかなか美しいヒダですなぁ、、(うっとり)

胞子紋は取っていませんが、明らかにヒダは紫っぽい色をしています。
これはつまり「胞子自体が紫色っぽい」ことを意味していますので、

「胞子紋は紫褐色」

という図鑑の説明にピタっと合致しますね。
なのでヒダに関してはオッケー。


 

柄の太さは図鑑にも説明はありませんが、いこまさん提供の写真と比べてかなり太い感じがしますが、「柄は長さ9~15cm」に関してはあっていますね。

さてここで、、きのこびとのしおたさんによると

サケツバタケの柄の底の部分には菌糸が残っていることが多い

という耳寄りな情報を頂きました。
それに関しては裸眼で確認できるほどくっきりと「菌糸」が見えておりますよね。

『参考』(キノコ図鑑)
http://mushroomsindex.com/result0083.htm

柄は表面に絹糸状光沢があり、白色から淡黄褐色。形状は下部が太くなり逆根棒状、中実。上部には白色で厚いツバが有る。このツバは周辺に深い切れ込みがあり、星型状。このツバの形状からサケツバタケと名づけられた。柄の基部には太い白色根状の菌糸束がある。肉は白色。無味無臭。

ここに「柄の基部には太い白色根状の菌糸束がある」と書いてあります。
他のWEBサイトにも同じような事が書いてあるものがありましたので、そこは間違いないかと思います。

では柄の断面図を見てみましょう。


 

かなり「中実」というのがわかります。

そしてヒダと柄が接する部分を見てみると、、、

直生してますよね?
これは図鑑の

ヒダはやや密で直生している

と同じです。

何回見ても覚えられないのでアンチョコを貼っておきます(笑)。

ヒダと柄の接する部分(キノコ検定本より)


まとめ

さていかがでしたでしょう?
僕は顕微鏡を持っていませんので、単なる絵合わせでどのキノコか?と調べるしか仕方ないのですが、いままので特徴を見てみると、確かにサケツバタケとは違った特徴もあるのですが、総合的に見るとサケツバタケ(またはキサケツバタケ)と言って良いだろうと思います。

それでは、持ち帰ってきたサケツバタケの供養をしましょう。



供養ですよ!(笑)

サケツバタケの焼きカレー(いりさオリジナル)


 

じゃじゃーーーん!!サケツバタケの焼きカレー!!

美味しかったです、料理自体は(笑)

まぁサケツバタケ自体はいわゆる「大味」でありまして、マッシュルームと同じで、さほど旨味らしいものがあるとは思えませんでした。
しかし、こういった料理の「材料」としてはなかなかいい味を出しておりまして、歯ごたえや、風味のアクセントとしては「アリ」なのだと思います、、、

「美味い」を強調するほどのキノコとも思えません。

なので「サケツバタケが美味いのか?」と聞かれると

「う~ん、まぁまぁかな?」(上から目線)

てな感じですな(笑)

※あくまでも僕の私感で、きのこびと全員の意見ではございません、はい www

Facebook コメント

Follow me!

コメントを残す

杏美菌譜

次の記事

ツエタケ(広義)