悲運のキノコ(ヒメカバイロタケ)

ヒメカバイロタケ

この写真は今から8年前、僕が神戸キノコ観察会に参加した初めての年に撮った写真です。
実はこの写真、インスタグラムにアップしたら沢山の「いいね」を貰えるし、Flickrにアップしても沢山の「Fave」が頂けるというある種「切り札」的な写真なのでありますな。

その写真の主は「ヒメカバイロタケ」

カバイロタケはモエギタケ科、クリタケ属なのですが、このヒメカバイロタケはクヌギタケ科、ヒメカバイロタケ属で名前は「ヒメ」が付いているかどうかの違いなのですが、見た目も全く違うし、科も全く別物のキノコたちです。ちなみに僕自身カバイロタケは未だ見たことがなく、ウッドチップの上などに良く出ているらしいのですが、一度は見てみたいキノコなのです。

またヒメカバイロタケも、この時見たのが初めてで、あぁこんなキノコがいるんやと思って、色んな角度からシャッターをきったものです。
でも良く見るとこの写真、微妙にブレているのがわかります。
傘の辺りの条線に注目すると、そのキレのなさが良く分かるのですが、こういったファンタジックな写真の場合だと逆にその微妙なブレ具合がいい味を出してくれたりするのが面白いところなのですな。

さて、、、

「ヒメ」が名前に付くキノコはおおむね可愛いが、このキノコもご多分に漏れず、とっても可愛い。

もう胸がキュンとなるよね?(笑)

キュン死した人、いますよね?(笑)

この写真を撮ったときも実は胸がキュンキュンしながら撮っていたのですが、何故か他の人達は一言で言うとこんな感じでした。

「あぁ、ヒメカバね・・・」

え?それでいいの?こんなに可愛いのに、そんなにアッサリでえぇのん?じっくり写真撮ろうよ、、みんなで撮ってあげようよ、三脚とか立ててもね、順番待ちとかしてさぁ、、、え、なんで行っちゃうの~~~

と思ったわけなのです。

その理由はここ神戸ではありふれてる、、からなのであります。
そりゃ珍しいキノコならみんな一生懸命にカメラの画面にしがみつくようにしてシャッターを切っていることでしょう、、しかし、松の木の倒木が多く、その時期になるとアチラコチラでその姿を見ることができるこのキノコはあっさりと「ヒメカバ」なんて呼ばれて、完全に冷遇されておるのですよ、、、これが、、、。

例えで言うなら、キュートさで売り出したアイドルがその可愛さ故にテレビに引っ張りだこになって、結果どのチャンネル回しても(チャンネル回してもは死語らしいが w)その娘がでているため飽きられてしまい、「あぁまたあの娘ね」とチャンネル回されてしまう、、、、的な(笑)。そしてそのアイドルにはごく一握りのコアなファンだけが追っかけを続けすぎて、最終的にそのファンの異様さにノーマルなファンが近づけない、、、、的な(笑)。

・・・誰のことやねん(笑)

いやぁ、ほんとに可愛そうな悲運のキノコであります。

が、しかし!!

このヒメカバちゃんが新たな悲劇に見舞われた、というのです。

千葉科学大学の糟谷研究室の発表を引用しますと

日本の亜高山帯で採集された標本は、ヨーロッパや北米に分布する Xeromphalina campanella と同一種であることが示唆された。一方で、日本の低標高地で採集された標本は Xeromphalina campanella とは異なる種である可能性が高いと考えられた。本発表では、以上の分子系統解析の結果とともに、形態的特徴の観察結果についても報告する。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/msj7abst/58/0/58_81/_pdf

ちなみにXeromphalina campanella と言うのはヒメカバイロタケの学名で、結論から言うと我々が見てきた神戸に生えているヒメカバイロタケは本当のヒメカバイロタケではないと、そういうわけだそうな、、、

そ、そんなバナナ、、、

長年「ヒメカバイロタケ」と同定してきたキノコが、実は違っていたのだ。
それはまるで今日まで日本人だと思っていた自分が、

「実はイギリス人だったのだよ、、だからね、ジョージと名付けたのよ」

と母親に告げられる様なものだ。
まぁ、どう見てもイギリス人には見えないけどね(笑)



「そんな細かいこと気にするなよ、君たち、、」

と撮り菌の僕は思うのであるが、やはり知り菌たちは違うらしい。

「DNA鑑定で違うのだから、それは違うのだよ、撮り菌ちゃん、、」

そう良い張るのだ。

「気持ちはわかる、君たちの気持ちはね、でもね、出てるとこも似てるし、姿形もそっくりじゃないか?」

大雑把な撮り菌はそれでも食い下がる。だって「なんちゃらイグチ」で済ます人たちだ。ここまで似てたら文句の付けようなどあるわけもない。

「じゃあ姿形が似ていたらそれでいいのか?カニかまぼことカニが同じというのか?」

知り菌のツッコミは恐ろしい、が、論理がほとんど破錠している、、、

「いやいや、、そもそもそれは味もちゃうし、原料もちゃうがな、、、なにいうてまんねん」

それでも知り菌は向きになる、向きになればなるほど理屈など不要になるのだ。

「何を言うか、カニカマはね、今やフランスやイタリアじゃ大人気なんだ!!」



で、神戸のヒメカバイロタケは一体何者なのか?

今や名前すら無くなったヒメカバちゃん。

この先どこへ行くのか、そしてどんな名前になるのか?

ニセヒメカバイロタケ

なんて名前はヤメて欲しいな(笑)

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